日本維新の会から立候補を決意した理由

2020年8月26日記

私は、2019年奈良知事選挙に挑戦しました。その折りも皆様方からお力添えを賜りましたこと、衷心より感謝致しております。
あの選挙においては現職に対抗する候補者を「一本化」する約束を反故にされてしまい、皆様方のご期待に応えることができませんでした。
私の力不足、努力不足であり、申し訳なく存じております。
ところが、その後、昨年(2019年)6月に維新の幹部から「衆議院奈良1区に挑戦しないか。」との打診を頂戴しました。
しかし、私は知事選挙で精神的にも、肉体的にも疲れ果てていましたので、もう政治の世界とは一線を画するつもりでした。よって、その折りはお断りしました。
その後も、維新からは幾度となくお申し出を頂きましたが、弁護士としての暮らしはストレスも少なく、経済的にも安定しており、穏やかな毎日でしたので、迷い、悩みましたが、決心致し兼ねておりました。

新型コロナで考えたこと

そんな中、2020年に入って新型コロナが猖獗を極める事態となりました。
以前は奈良の町にもあふれかえっているように感じた外国人旅行者は一斉に姿を消しました。飲食業や宿泊業に限らず、多くの方々が困窮しているにもかかわらず、政府与党は「アベノマスク」や「Go to トラベル」に象徴されるように困窮した人々に寄り添った政策を立案、実行することができないままでした。野党に関しては、私の目には、批判ばかりで建設的な提案がないように写りました。結局のところ、新型コロナに対して国会は機能しませんでした。自らの浅学非才は承知しながらも、歯がゆく思い、自分であればと考えるようになりました。それらに比べて、維新が大阪府知事、大阪市長を押さえた大阪では、国や他の都道府県に先がけて住民目線の政策を積み重ね、確実な実績を上げていましたので、維新の政策に関心を持つようになりました。

初志

そもそも私が2004(平成16)年、参議院奈良県選挙区から政治の世界に飛び込んだのは、「自民党がダメ」ではなく、「自民党だけやったら、アカン。」と思ったからです。と同時に「批判するだけの野党ではアカン。自民党に取って代わることができる、もう1つのかたまりが必要だ。」と考えたからです。
ところが、この8年間、「自民党だけ」の政治が続きました。
民主党(以下、かつての民主党や民進党、立憲民主党、国民民主党や合流新党を「民主党」と言います)はやはり1つになれないようです。
このような状況に照らせば、すぐにではないにせよ、「自民党に取って代わることができる、もう1つのかたまり」は維新しかないように思い始めました。

維新は自民党の別働隊?

もっとも、維新に対しては、他の野党から「自民党の別働隊」との批判があります。私も気になりました。そこで、維新の幹部に率直に尋ねました。これに対して、維新の幹部は「私たちは、小選挙区で自民党と1対1で戦っています。」とお答えになりました。自民党と公明党のように選挙区を「棲み分け」しているのではなく、食うか食われるか、しのぎを削っている関係で「別働隊」の批判は当たらないと気がつきました。

維新の政策−地方分権、身を切る改革

維新の政策も調べました。政策の僅かの違いを殊更に言い募り、分裂に至った民主党の轍を踏むべきではありませんが、とはいえ、政治家にとって、政党にとって何を実現しようとするか、政策は極めて重要です。
私はこれまで維新の政策を殆ど知りませんでしたが、維新が「大阪都構想」を通じて実現しようとする「地方分権」は、民主党も「1丁目1番地」と位置づけていた重要政策でした。
さらには「議員年金の廃止」や「議員定数の削減」など、本来「身を切る改革」についても、私たちこそが訴えていたはずです。しかし、今や立憲民主党は「身を切る改革」を訴えることがありません。

教育費の負担軽減、高等教育無償化

私は、予算委員会でも繰り返し安倍総理と議論したように「親のサイフの重さで子どもたちの未来に差があってはならない。」と信じていますが、この40年間で、安いはずの国立大学の学費さえ10倍になってしまいました。
ところが、親の所得は増えません。その結果、今や大学生の2人に1人が奨学金を借りています。
あるいは、小学校のうちから塾に通い、受験に特化した私立の中高一貫校へ進学した方が偏差値の高い、いわゆる「有名大学」の受験には有利だという現実があります。偉そうなことを言うつもりはありません。私の長男も私立の中高一貫校に通わせました。
ただ塾にせよ、私立の中高一貫校にせよ、とてもお金がかかります。その結果、「親のサイフの重さ」で子どもたちのスタートラインが異なってしまったなら、これ以上の不正義はありません。この国に生まれた全ての子どもたちがその意思と能力に応じた教育を受ける機会を保障されるべきであって、全ての子どもたちにとってチャンスは平等であるべきです。

ところで、大阪府は1993(平成5)年以降、「経常収支比率」が100パーセントを超えており(収入の全てが人件費など固定費に費やされてしまい、自治体が自由に使えるお金がない状態)、橋下徹知事の前任者であった太田房江知事当時は「減債基金」(借金を返すための基金)さえ取り崩す状況でした。つまり、あの夕張市同様、財政再建団体へ転落する手前でした。橋下さんが大阪府知事に就任した際、大阪府職員に対して「皆さんは破産会社の従業員であることを認識して下さい。」と発言したのは、このような財政事情があったからです。
そこで、維新(橋下知事)は財政再建のため、既得権益にも切り込み、ムダな「ハコモノ」を止め、徹底した財政改革を実行して財政を再建するとともに、それによって生み出した財源で大阪府では私立高校を含めた「高校授業料無償化」を実現しました。
大阪市では「塾」(習い事やスポーツ教室を含みます)の学費の補助もスタートしています。
大阪府立大学と大阪市立大学においては、大阪府民に関しては2020年度から学費が無償化されました。
さらには妊産婦検診も無償化されました。
このように私がこだわった教育費の負担軽減、高等教育の無償化に関しても維新は実績を積み重ねています。

憲法

「護憲派」の人々から維新は「改憲派」と位置づけられています。
かたや、私は、安保法制(集団的自衛権)に関しても安倍総理を追及していました。ですから、SNSでは一部「護憲派」の人たちから「前川は変節した」と批判を受けています。
しかし、私は現行憲法に未来永劫「指1本触れてはならない。」と考えたことはありませんし、発言したこともありません。社会が変化すれば、それに応じてルールも変わります。憲法も同じです。私は安倍総理との予算委員会での議論でも「憲法は不磨の大典ではありません。70歳を超えた憲法に足らない点はないのか、改めるべき点はないのか、国民とともに議論することはむしろ当然です。」と述べています。
いや、私だけではなく、枝野幸男憲法調査会長、前川憲法調査会事務局長当時、民主党のマニフェストにも、そう書き込んでいます。
その一方で、政治が憲法というルールの下で行われることを「法の支配」とか、「立憲主義」と言いますが、私は「法の支配」こそ民主主義の最も基本的な理念だと信じています。安倍政権は集団的自衛権を容認(安保法制)する際、自ら憲法解釈を変更してしまいました。憲法で縛られているはずの政権が自ら憲法解釈を変更して、その「縛り」を緩めてしまうことは「法の支配」の否定です。ですから、私は安保法制は許されないと訴えました。
安倍総理は「自分たちは選挙で選ばれた。」と口にしていましたが、たとえ選挙で選ばれた民主的な政権であったとしても、暴走してしまうことがありますし、「多数決」で個人の尊厳や基本的人権を奪うことは許されないはずです。「自由な討論の広場」が存在しない社会(=基本的人権が保障されていない社会)には民主主義が存立し得ないことは、昨今の香港の情勢を見れば明らかではないかと存じます。
この点で、維新はその基本方針に「統治機構の改革」や「地方分権」、「機会の平等」らとともに「法の支配」を掲げています。
維新は、橋下前代表にしても、吉村副代表にしても、弁護士です。そして、当時、司法試験の合格率は2パーセントでした。よって、橋下さんにせよ、吉村さんにせよ、さらには私も、青春の一時期、それこそ死にものぐるいで憲法や法律を学んでいます。自然と「法の支配」が血肉となります。したがって、私は「護憲派」の人たちよりも「法の支配」の信奉者であり、決して何一つ変節していません。

今のままではアカン

長々と書かせて頂きましたが、我が国は、今後も人口、とりわけ生産年齢人口が減り続けます。したがって、経済は容易には成長しませんし、税収も大きな増加を期待することができません。しかも、少子高齢化の進展によって社会保障給付費が増大し続けることが必至であるにもかかわらず、既に1000兆円を超える膨大な「借金」を抱えています。
ですから、知事選挙でも訴えたように、借金をしてでも道路や「ハコモノ」を作り続ける「土建政治」を続けたならば、財政のみならず、やがて社会そのものが破綻してしまうと危惧しています。
子どもや孫の世代にこれ以上の借金を押しつけることがないよう、また少子高齢化に対応する社会保障制度を構築するためにも、そして何よりも「今の暮らし」を守るためにも、政治の仕組みを変えなければならないはずです。「今のままではアカン。」と思っています。
衆議院選挙は、参議院選挙や知事選挙とは異なり、いつあるか分かりません。その意味では「常在戦場」です。
と同時に私も既に57歳になりました。次の衆議院選挙は「ラストチャンス」です。
全身全霊で努力を重ねますので、忌憚ないご意見をお寄せ頂くとともに、何卒ご指導、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。